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恋愛小説「LOVEメタル」7

イトコの百合のひとめぼれ7

 夜も更けたころ、わたしは自分の部屋でパソコンと睨みあっていた。
 そろそろ大学を退いて一年を過ぎようとしている。季節は秋に入り、少し物寂しい気分とともに、このままフリーターを続けていては駄目だという焦りが増してきた。
 ここのところ、ネットでやみくもに情熱を傾けられる〝何か〟を、探している。年内にはどうしても目標を見つけて行動に移したい。こうなったら、今まで稼いだバイト代で短期留学でもしようかと考えてみるが、何を勉強しに、どこの国に行きたいのかすら見当がつかない。第一に英語が話せないわたしは、海外に出てみたところで何も得られそうになかった。

 ということは、語学留学でもする?

 一瞬頭をよぎったが、興味もない他の国の言葉を話したいとも思えなかった。

 ネットで探して見付かるはずもないか…。

 検索しすぎて疲れた目を閉じ、渋い顔をつくっていたとき部屋の扉を叩く音がした。

「はい?」

 わたしが答えると同時に、百合が静かに入ってくる。
 ピンクのフリルが何層にもなっているパジャマ姿の彼女を見て、思わず二度見してしまう。どこで買うのだろう??という疑問が湧いたが、その気持ちを押し込めて笑顔をつくった。

「まだ起きてたんだ。どうしたの?」

「美優ちゃん…」

 いきなり、うるうるしている瞳を向けてくる彼女に嫌な予感を感じた。

「…なに?」

 わたしは、ローテーブルの上に散乱させていた色々な資料を整理しながら、とりあえず百合が座れるようなスペースをつくった。
 彼女は黙って前に座り、テーブルの上で両手を握りしめると、ぽろぽろと涙を落とした。

「え…?」

 もしや、鹿嶋にはっきりと振られた?
 そう思ったわたしは、百合には申し訳ないが、内心やれやれという気持ちで安堵した。わたしが彼に手紙を渡してから二週間以上が経つだろうか。あの鹿嶋が、ラブレターを渡してくるような女子を相手にするはずがない。偏見かもしれないが、もっと遊び慣れていて後腐れのない大人の女を選びそうだ。こういう結果になることは分かり切っていただけに、百合には彼との経過を何も聞いていなかったのだ。

「どうしたの? 鹿島さんに振られた?」

 わたしの言葉に、彼女は大きく首を振って唇を咬み締めた。

「え? なら、どうしたの?」

「鹿嶋さんが電話をくれないの!」

 いきなり百合は叫んでテーブルに突っ伏し、声を出して泣きはじめた。

「ちょ、百合…」

 子供のように号泣する彼女に面食らう。
 慌てて場所を移動し、彼女の傍らに座って慰める言葉を探しながら背中に手を置いた。電話がないということは、結局は振られたということになるが、百合は認めたくないようだ。現実は全く相手にされず放置されたということだろう。彼はすでに百合の手紙のことなど忘れているにちがいない。

「きっと、縁がなかったんだって。それにね、彼は悪魔指示のバンドをしてるの。だから、神様が百合を彼から離してくれたのね。百合にはもっと素敵な人が現れるから…」

 鹿島をはやく忘れて失恋を乗り越えられるように願いを込め、彼女の背中を撫で続けた。
 すると、意外に百合は素直に泣き止み、顔を上げてわたしを見つめてきた。言葉の中に〝神様〟に出演いただいたことが効果があったのだろうか。祖母の影響をかなり受けている百合なら、神様パワーは絶大なのかもしれない。