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恋愛小説「天子の法則」3

わたしの法則を紹介します3

「天子って…。でも、そこまで潔くハッキリ言えるなら気持ちいいかもね…」

 苦笑いした瑞穂は、軽いため息をついてわたしを見つめる。

「瑞穂もさあ、ダンスなんてのめりこんでないで、彼氏見つければ? このご時世なんだから、甲斐性のある男をさっさと捉まえることが先決じゃない? 若いうちに。ね」

 瑞穂は、中学生の時からの友達だ。
 昔からダンスが大好きな女子で、わたしをベリーダンスに誘ったのも彼女。ただ、長いつきあいとはいえ、わたしは瑞穂を理解できない。整ったルックスと日 本人離れしたスタイルを持つ彼女は、何よりダンスに気持ちを奪われている。超平凡な容姿のわたしから言わせてもらえば、全くもってもったいない話だった。

「ん~、わたしは天子とは違うから、当分男はいらないわ」

 ほら、これだから。

「あ、そ。そんなこと言ってると、すぐ老けちゃうからね。ま、お好きにどうぞ~」

 わたしたちは今年23歳になる。
 世間ではまだまだ結婚にははやい年齢だと思われるかもしれないが、そんなことは全くない。なにより、まだ運命の人に出逢っていないことが問題だ。今すぐ出逢ったとしても、付き合う期間を考えると結婚は順調にいって25歳くらい。下手するとそれ以降になってしまうかもしれない。

「なんでそう急ぐの? 結婚」

 不思議そうに聞いてきた瑞穂に、わたしはにっこりと笑った。

「幸せになりたいからに決まってるでしょ」

 わたしには信じている法則がある。
 法則というと難しく聞こえるが、とにかく幸せになる定義のようなもの。

『裕福な男性と結婚=未来の幸せの確保』

 女性なら当たり前のことかもしれないが、この法則は、わたしの揺るぎない信念になっているのだ。そして、この法則を実証するための手段も確立している。それはおいおいご紹介するとしよう。

「幸せって、結婚だけが幸せじゃないと思うけどな。ま、いいわ。で、今度の派遣先には、そういう意味でかなり期待してたんじゃなかった? なんだっけ? オーナー社長の息子がいるんだったよね?」

 再び呆れたような顔つきで聞いてきた彼女に、わたしは一瞬顔をこわばらせて黙ると、無言のままテーブルの上の珈琲カップに口をつける。

「あれ、聞かないほうがいいみたいね?」

 瑞穂はわたしの表情を察して小さく呟いた。